食のハンデとバリアフリーについて考える

食のバリアフリーとして行われていること

食のバリアフリーへの注目度は年々上昇しています。食のバリアフリーとは、食に対してあるハンデを持っている人でも、不安を感じることなく食事を選び、食べることができる環境が整っているということです。主に飲食店などで、メニューにアレルギーに関する表示をしたり、原材料名を表記したりすることがこれに当たります。また、食べることができない食品がある人に対して、それに代わる食品を使用した料理を提供することも、食のバリアフリーの取り組みの1つです。

 

食のハンデがある人とは

ここで、食のハンデを持つ人とはどのような人なのかという疑問が湧いてきた人も多いことでしょう。食のハンデを感じている人は、次の5つのうちのどれかに当てはまる場合がほとんどです。

1つ目は、食物アレルギーがある人です。食物アレルギーがある人は、アレルギーの原因となる食品を口にすることができません。もしも口にしてしまうとアレルギー症状が出てしまうので、飲食店などで料理を注文する際は、メニュー選びも慎重に行っています。

2つ目は、宗教や国の文化などで口にしてはいけない食品が定められている人です。例えば、イスラム教では豚肉を食べることがタブーとされていますので、豚肉を使った料理は食べられないということになります。

3つ目は、ベジタリアンやヴィーガンなど、健康のためや動物愛護のために、自らの意思で食べない食品を定めている人です。ベジタリアンは主に植物性の食品や卵、牛乳を口にし、肉や魚は一切食べません。ヴィーガンは植物性の食品のみを食べ、肉や魚はもちろんのこと、卵や牛乳も一切口にしません。

4つ目は、年齢によって食べられない食品や食べにくい食品がある場合です。特に、乳幼児は消化器官や咀嚼力が未発達だったり、アレルギーの発症を抑えるためだったりという理由から、食べてはいけない物が多くあります。また、高齢者についても、咀嚼力の低下に伴い、食べにくい物が出てきます。

最後に、5つ目が、病気によって食事制限が必要な人です。例えば、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の人は、治療のためにカロリー制限が必要となります。

このように、食のハンデがある人は想像しているよりも多く存在しているのです。ベジタリアンやヴィーガン、高齢者、生活習慣病を患っている人は今後も増加する可能性もありますし、それ以外の要因で食のハンデを持つ可能性は誰にでもあります。

 

日本の現状と今後

日本では、食のハンデを持つ人への対応がまだ万全ではないのが現状です。近年では食物アレルギーなどの認知度が高まったことにより、飲食店において、料理の原材料名の表示やアレルギー食品に関する表示をするところも増えてはきました。ただし、飲食店においてそれらの表示は義務ではないため、全ての飲食店にその対応を求めることは困難なことでもあります。他人事だと思わずに、私たち一人一人がもっと食のバリアフリーについて理解し、協力していくことが求められています。