食の多様化とフードバリアフリー化について

なぜフードバリアフリー化が必要なのか

フードバリアフリー化という言葉を耳にしたことがある人は、まだ多くはないようです。食物アレルギーがあって食べられない物がある人や、宗教の決まりで食べることを禁止されている物がある人、肉や魚を口にしないベジタリアンの人、植物性食品だけしか食べないヴィーガンの人など、現代では食に関する多様化が進んできています。

このような食べられない物を持つ人々が特に困るシーンが、外食をするときのメニュー選びです。なぜ困るのかというと、お店のメニューを見ただけでは、その料理にどのような食材が使われているのか、どのような加工方法がとられているのかがわかりにくいからです。食べられない物がない人はあまり気に留めたことがないかもしれませんが、食べられない物がある人にとっては、これが食のバリアとなってしまっています。

この食のバリアがあることで、自然と外食から足が遠のいてしまうという人も少なくはありません。例えば、食物アレルギーがある人の場合、料理にアレルギーの原因となる物が入っていることに気が付かずに食べてしまうと、アレルギー症状が出てしまいます。症状が重ければ、最悪の場合、命に関わるような事態が起こってしまう可能性があります。ですので、料理に使われている物を知るということはとても重要なことなのです。

 

皆で安心して食事を楽しむための取り組み

そこで近年、日本でもそのような食のバリアをなくすための取り組みが広まってきています。それがフードバリアフリー化と呼ばれるものです。フードバリアフリー化は、食物アレルギーや宗教上の決まり、ベジタリアン、ヴィーガンなど、様々な理由により食べられない物がある人でも安心して食事を楽しんでもらいたい、という考えに基づいて行われています。安心で楽しい食事を実現するために、お店のメニューなどに、料理に使用している食材や加工方法について詳しく表記するという取り組みが実施されてきています。

この取り組みは、アレルギーを持つ人などにとどまらず、幼い子どもを持つ家族にとっても優しい配慮となっています。例えば、まだ離乳食や幼児食の年齢の子どもであれば、年齢によって食べさせてはいけないとされている食品があります。もし料理で使用している食材がわかれば、安心して大人の料理を取り分けて子どもに与えることができるかもしれません。また、幼い子ども以外にも、何らかの病気があって食事制限を行っている人もいるでしょう。このような人たちも、料理に使われている食材や加工方法がわかれば、制限内で食事を楽しむことができる可能性が高くなるのです。

 

今後の展望

フードバリアフリー化は日本では最近になって広まってきた取り組みですが、欧米などでは日本と比べるとより早い段階で始まっていました。それは、欧米などでは食の多様化が多くの人に認知されていることとも関係しているようです。今後は日本でも食の多様化が多くの人に認知され、どんな人でも食事を楽しめる環境がさらに整ってくることでしょう。