食物アレルギーとは違う!アレルギーと間違いやすい食中毒

●食物アレルギーと食中毒の違い

食物アレルギーは特定の食べ物によってアレルギー反応が起こる症状ですが、食中毒の中にも食物アレルギーと似たような症状を起こすものがあります。このため食物アレルギーと食中毒を混同してしまうこともあるのですが、食物アレルギーと食中毒は別のものです。

食物アレルギーとは、食物に含まれる物質を外敵とみなして、抗体を作り出す反応です。抗体が外敵を排除する際にヒスタミンなどの化学物質を作り出し、炎症などのアレルギー症状を引き起こします。

これに対して食中毒では、アレルギー反応のように抗体が作られることはありません。主に細菌や毒が原因で起こるのが食中毒です。

●アレルギーと混同しやすいヒスタミン食中毒

食物アレルギーとよく似た症状が現れる食中毒の代表選手が、魚を食べたときにじんましんやかゆみなどの症状が出る「ヒスタミン食中毒」です。

「魚を食べたらじんましんが出たからアレルギーだ」と判断して、魚を食べるのを控えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、魚を食べて発生するじんましんの全てが、食物アレルギーとは限りません。食中毒であること可能性も高いのです。

ヒスタミン食中毒は、適切に保存されなかった魚などが原因で起こります。ヒスタミンは、主に魚に含まれるヒスチジンというアミノ酸から生まれます。ヒスチジンに酵素が働きかけて、ヒスタミンが作り出されるのです。

このためヒスチジンが多く含む魚などが適切に保存されなかった場合、ヒスタミンが生成されることがあります。ヒスタミンは熱を加えても壊れないので、一度ヒスタミンが作られると、煮る、焼くなどの熱処理を行っても効果がなく、食中毒を防ぐことはできません。

●ヒスタミン食中毒の原因として報告されている食品

日本でヒスタミン食中毒を起こすとされているのは魚です。カジキや鮪、ブリ、鯖、秋刀魚、鰯、シイラなどが食中毒の事例として報告されています。海外では魚だけでなく、鶏肉やハム、チーズでもヒスタミン食中毒が発生した事例が報告されています。

症状としては口や耳の周辺など、顔に赤みやじんましんが出るのが一般的です。しかし場合によっては吐き気や下痢、頭が痛くなるなどの症状が出ることもあります。

これらの症状が現れるのは、原因となる魚を食べてから10分~30分以内が一般的です。しかしですが、遅い場合では1時間~3時間後に表れることもあります。症状はほとんどの場合は12時間以内、遅い場合で36時間程度で治まるといわれています。しかし重傷の場合は呼吸困難に陥ったり、意識不明になったりすることもあります。おかしいなと感じたら、速やかに医療機関で診てもらいましょう。

食品にヒスタミンが発生していても、見た目や匂いに変化がありません。判断が難しいのですが、食べたときに口の中や舌がピリッと刺激を感じることがあります。このような場合は、食べるのをやめましょう。

そしてヒスタミン食中毒を予防するためには、魚などを常温で保存しないことです。魚は冷蔵庫や冷凍庫で適切に保存されたものを、新鮮なうちに食べきるようにしましょう。