アレルギーに悩む人は年々増えています。花粉症をはじめ、アレルギー性鼻炎や蕁麻疹、食物アレルギーなど、何らかのアレルギーがあるという人は多いのではないでしょうか。いまや日本人にとって国民病と言ってもよいアレルギーの治療法は、どんどん進歩しています。治療法は大きく分けると、「薬物療法」と「アレルゲン免疫療法」の2種類です。
アレルギーの仕組み
アレルゲンが鼻や口、皮膚あるいは目を通して体内に入ると、体は「異物が入ってきた」ととらえます。すると、免疫反応によって、体内には抗体という免疫物質が作られます。抗体は固有のアレルゲンに対して作られるものです。たとえば、小麦アレルギーの人は小麦に対する抗体が、スギ花粉症の人はスギ花粉に対する抗体が体内に作られます。
抗体ができると、私たちの血液、腸、皮膚などのマスト細胞と結合します。再びアレルゲンが体内に入ると、抗体のついたマスト細胞とアレルゲンが結合します。この時、ヒスタミン、ロイコトリエンなど、アレルギーの症状を誘発する化学物質が生まれます。その結果、くしゃみ、鼻水、かゆみや蕁麻疹、あるいは嘔吐や下痢などの症状が出ます。症状の出方はアレルゲンや体質、体調あるいは年齢などの要因によってさまざまです。
アレルギー症状を抑えるには、抗体のついたマスト細胞とアレルゲンが結合した際にできる化学物質を抑制しなければいけません。アレルゲンが体内に入ったからといって、すべての人がアレルギーになるわけではありません。
薬物療法とは
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こすのは、ヒスタミンなどの物質が働くためです。飲み薬や塗り薬、点鼻薬などによって、症状を起こす物質の働きを妨げて症状を抑えます。薬物療法に使用されるのは、抗ヒスタミン薬、ステロイド剤、気管支拡張剤などです。症状に合わせた薬を処方してもらいましょう。薬物療法のメリットは、すぐに症状が抑えられることです。ただし、数時間で効き目がなくなるので、1日に数回服用しなければいけません。
アレルゲン免疫療法とは
減感作療法とも言われます。アレルギー症状を引き起こすアレルゲンを少量ずつ、長期間にわたって投与して、徐々に体をアレルゲンに慣らし、症状を出にくくします。体質改善で症状がかなり和らぐので、薬を飲まなくても、あるいは薬の量を減らしても、生活できるようになります。ただし、治療には3~5年ほどかかります。また、まれに副作用として、呼吸困難や蕁麻疹、嘔吐などのアナフィラキシーショックを起こすこともあります。
アレルゲンを注射する皮下免疫療法と、薬剤を舌の下に置く舌下免疫療法の2つから選べます。皮下免疫療法は通院して注射を打つ必要がありますが、舌下免疫療法なら初診以降は自宅で薬剤を服用できるというメリットがあります。現在はダニアレルギー性鼻炎とスギ花粉症にしか対応していませんが、今後、治療できるアレルゲンが増えれば、アレルギー治療の主力となるかもしれません。