食物アレルギーは、子どものときに発症するイメージを持っている人も多いようです。しかし、大人でもある日突然、食物アレルギーを発症することがあります。それまで普通に口にしていた食べ物でも、急にアレルギーを引き起こす原因へと変化してしまうことがあるのです。
大人の食物アレルギー
20歳以上の大人が特にアレルギーを起こしやすい食べ物は、小麦粉、甲殻類、果物です。多くの場合、原因となる食べ物を口にした直後から2時間くらいの間に、何らかのアレルギー症状が現れます。アレルギーの症状としては、口の中の痺れや痒み、蕁麻疹、息苦しさ、嘔吐、腹痛などがあります。症状が重い場合には、呼吸困難や血圧が低下してしまうアナフィラキシーと呼ばれる症状を引き起こしてしまうこともあります。アナフィラキシーは命に関わる危険なものであるため、すぐに救急車を呼ぶなどの対応が必要となります。
なぜ大人になってから突然、食物アレルギーが起きてしまうのかという疑問を持つ人もいることでしょう。遺伝的要素もあるとも言われていますが、実はいつ誰が発症しても不思議ではないのが食物アレルギーなのです。
大人が発症する可能性が高いタイミングは、疲れが溜まっていたり、過度なストレスを溜め込んでいたり、体調不良が続いていたりするときであるという説もあります。アレルギーの発症を防ぐためにも、体調に何らかの不安がある場合には小麦粉を使った料理や甲殻類などを口にすることは避け、体に優しい食事を心掛けるようにします。
子どもの食物アレルギーとの違い
大人と子どもの食物アレルギーでは、大きく異なる点があります。それは、発症したアレルギーが治る可能性があるかないかという点です。
子どもの場合は、発症しても適切な治療を受け、成長するにつれて治っていく可能性が高くなります。子どもは適切な治療の効果も出やすいのです。
しかし、大人になってから発症してしまうと、時間が経過しても治るということはありません。適切な治療を受けてもなかなか効果が出ないのが大人のアレルギーです。そのため、大人が発症した場合には、完治のための治療をするというよりも、アレルギーの原因となる食べ物を除去するという対処法が取られることが多いようです。大人の食物アレルギーは突然発症するということを踏まえ、アレルギーの症状や対処の方法について、知識として蓄えておくということも重要です。
安心して食事できる環境づくりを
大人になってからアレルギーを発症して、その原因の食べ物を口にできなくなったとしても、食事自体を楽しむことはやめたくないものです。最近では食のバリアフリー化も進んできています。
食のバリアフリー化とは、主に飲食店で料理の原材料表示を行って、食に対するバリアを取り除き、食べ物に制限がある人でも安心して食事ができるようにする取り組みのことです。これにより、外食時でもアレルギーのあるなしにかかわらず、すべての人が食事を楽しめるような環境を作ることができるのです。食物アレルギーの認知度の高まりと共に、食のバリアフリー化は今後ますます広がりを見せることでしょう。