最近、食物アレルギーへの関心が高まっています。しかし、食物アレルギーの中でもあまり知られていないのが、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーです。
食物依存性運動誘発性アナフィラキシーとは
原因となる食品を食べただけであれば何も起こらないけれども、それを食べて2~3時間以内に運動をすると、アレルギー症状を引き起こしてしまうという特殊な特徴を持っています。発症しやすいのは10~20代の男性とされていますが、それ以上の年齢でも決して発症しないというわけではありません。
原因となる食品は小麦、エビ、カニである場合が多く、他にも魚介類や果物が原因となったというケースもあります。どのような運動をすると発症してしまうのかですが、ランニング、サッカーなどの全身運動で発症する人もいれば、散歩、掃除など穏やかな運動で発症してしまう人もいます。運動量についても、発症してみないとわからない、というところがこのアレルギーの恐ろしいところです。
食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの症状
蕁麻疹、腹痛、嘔吐、呼吸が苦しくなるなど、一般的に知られている食物アレルギーと同じ症状が出ます。重症になると、呼吸困難や血圧の低下、意識を失うなど、命に関わるケースもありますので注意が必要です。
また、このアレルギーは原因となる食品を食べて運動したからといって、毎回症状が出るわけではないという特徴もあります。体調不良やストレスが溜まっていると症状が出やすくなる傾向があります。しかし、今回は症状が出なかったからといって安心せず、一度でも運動後に何らかのアレルギー症状が出た場合には、再発を防ぐためにも迷わず受診することがおすすめです。
フードバリアフリー化の考え方
食物依存性運動誘発性アナフィラキシーだけでなく、食物アレルギーを発症すると、原因となる食べ物を避けることが必須となります。原因となることが多い小麦やエビは、料理に使われることが多い食品でもあります。自宅であればその食品を使わなければよいのですが、外食時はなかなか大変です。それは、客側からはお店の料理の材料に原因となる食品が使われているかどうかがわかりにくいという理由からです。そのため、食物アレルギーがある人の中には、アレルギーを起こすことが怖くて、外食できないと外食を諦めざるを得ない人も少なくありません。
そのように食にハンデを持つ人でも、ハンデがない人と同じように食事を楽しめる環境を作ろうと始まったのが、フードバリアフリー化です。食物アレルギーがあるとか、宗教上の理由などで食べることができない食品がある人でも、食事を楽しめるよう工夫をすること、それがフードバリアフリー化の考え方です。
例えば、お店側が、お店のメニューに使用している材料やアレルギー食品の有無をわかりやすく表示します。食べることができない食品がある人でも、それを見れば、自分に合うメニューを選ぶことができるのです。このようにして、食べることができない食品がある人もない人も、安心して一緒に食事を楽しむことができるようになります。